「昨日風呂沸かそうと思って水道ひねったら、しばらくして水が止まったんだ。
そしてすぐに、ごぼっ、っていうかブシュッ、って音がして、水が噴き出したんだよ。
浴槽の中を見たら、なんか黒いぶよぶよのものが浮いてるんだ。
水道管の汚れがつまってたんだと思った。いや、すさまじい量だけどね、実際。
でもよく見たらなんか毛がびっしり生えてる。多分ねずみだよ。
マンションの上の貯水タンクにねずみやら人間やらの死体が紛れ込んでるってよくある話さ。
いやでも、何でこんなのが入ってて水が正常に流れたんだろうって。いや、一瞬詰まったけどさ。
それより何より、こんなでかいのがこんな細い水道管をどうやって流れてきたんだと思う?
でも実際あるんだよな。浴槽の中に。
よく見たら洗い場の排水溝の所にも何匹か死んでるんだ。
で、俺はどうしようかと思案して、いまだ結局そのままなんだ。
そのままのほうがなんだかいい気がしてさ。動かしちゃいけない気がするんだ。
この感覚わかるだろ?
おまえ以外の奴に話したらそんなもん早く捨てろって言われるだけの気がしてさ」
そう言ってカズヨシが僕のうちに風呂を借りにきた。
僕がちょっと考えるあいだにカズヨシはすばやくラークに火をつけた。
暗い廊下に赤い火がゆれて、尾を引くように赤い軌跡を焼きつけた。
「……いいよ」
僕はカズヨシの家の風呂場には先週死んだヨシミの長い髪の毛がうずたかく積もってるのを知っている。
その3日後、カズヨシは死んだ。
きっと風呂に入れなくて、でも僕にたびたび借りるのも気が引けて、死んでしまったんだと思う。
かわいそうなやつだ。
と、言うのはもちろんウソで、(当たり前だ。それじゃあ、やりすぎってもんだ)
カズヨシはまだ僕のうちの風呂に入っている。
それももうかれこれ二時間になる。
僕はカズヨシがうちの風呂で死んでやしないかとちょっと心配なだけだ。
もし、カズヨシまで死んでしまったら僕はいったい誰のうちに風呂を借りに行けばいいのだろう?
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Posted by: Cheap Cialis at September 1, 2004 08:19 AM