February 14, 2004

eye catch 元祖天才少女(1)


昨日sktが文芸春秋を学校に持ってきてたのでとりあえずピアスのほうだけ読んだ。
インタビューでパチスロの話をしていて、「当時の台は云々、最近の台は云々」とか言っててちょっとワラタ。当時っておまえ、せいぜい四、五年前でしょ? あんた自身、二十歳とかなのに。プッ。
きっと私もこのサイトで偉そうなこと言ってるのをみた年配の人から「プッ」と思われてるんだろうな。

読んだ感想としては、とりあえず自分はこういうものは書かないし、書いたとしても書き直して原型は残らないだろうと思う。選評では「稚拙な表現」とか言ってた人もいたけれども、そこが最終的には「現代の若者の感性の発露」として評価された部分なのだと思う。だとは思うけれども、私自身はそういった感性を持っていても「発露」することを拒否する。少なくともexplicitには表現しないだろう。そこが多分、自分が「現代の若者」たりえない部分なのかなとも思う。そういう意味で、敵わないなと思った。

でも私にとって「元祖天才少女小説家」は篠原一だった。
年は確かいっこか二つ上で、似たような境遇だった。当時漠然と「小説家になりたいなぁ」と思いながらもなにをするでもなかった私の前に、突如「現役高校生 文學界新人賞最年少受賞!」の報。それが、おさげのビン底メガネしか生息していないような学校だと思っていた学校の生徒だと知るや、なんともいえない脱力感に襲われた。小難しい哲学書みたいな小説だったらまだ良かった。処女作の「壊音 KAI-ON」はジャンキーでサイケな世界。それで私はまだ始めてもいなかった「小説家になる努力」を放棄した。ここで「畜生、悔しい」と思って頑張らないところが私の最大にダメなところだと思う。

自分のダメさを再確認するのがイヤで、その後の篠原一の作品は読んでいなかったのだけど、今日PBCに行ったらエッセイ集の「ぼくはスクワター―不法占拠者」が平積みにされてたので思わず手に取った。あの時、名門校の生徒として標準的な道を歩まず、小説家として歩き出した人間がその後どうなったのか、一人の人間として単純に興味があった。
読んでみると、今年の芥川賞の二人のどちらの文章よりも共感できる。内容がどうこう以前に、シニカルな筆致が思わず苦笑してしまうほどに理解できる。全体的に抑制された文体で、斜に構えた文章なのだけれど、ところどころ自己顕示欲や自意識が抑えられなくなっているところもあって、でもその抑えられなさも分かる気がする。かつて神童と呼ばれ、その後落ちこぼれて、再び小説家としてもてはやされる、そういった過去に対する複雑な思いがまだ整理しきれていない。本人はそうは思われたくないだろうけど。

改めて、自分は少々古くて、保守的な人間なのだろうと思う。

Posted by psi at 07:42 PM | eye catch TrackBack (0)
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eye catch Comments

たぶん、それが幼稚園生の落書きなのか、ピカソの絵画なのか分からなくてみんな困ってるんでしょうね。
別に読まなくてもいいと思いますよ(鬼)
いや、人によっては「最後まで読むに耐えない」とか言ってる人もいるので気分を悪くする恐れが‥‥
読む人を選ぶんでしょうね。

Posted by: psi at February 25, 2004 02:38 AM

稚拙な表現・・・
多分お絵かきでいうところの「子供の絵」みたいなものでしょうか(失礼
いや、幼稚園生や小学生の絵がギャラリーに飾ってあったりカレンダーにされたりしてるのを見ると、確かにヘタクソなんだけれどそれが味があって良い、とか。
読んでから評価しろってことですかね、すみません・・・

Posted by: ナナミ at February 19, 2004 02:12 PM