July 31, 2003

eye catch 第三十一回


次のシナリオまでに間が空いてしまったので、我々バーサーカーズは血を求めて時間の有効利用のため、青陽の山賊基地に向かった。

青陽の街は江田に輪をかけて何もない街である。
深城にいたときにAさんの市場仲間(←ありとあらゆる市場探索を趣味とする)の『買い物スカヤ』さんが「青陽に行ってきます♪ なんか掘り出し物あるかな〜」と言っていたので、「何もないからやめたほうがいいですよ〜」と親切にも教えてあげたのだが。どうしただろう?

青陽につくと、人々は「街を出ると山賊が出るから山を歩かないほうがいいよ」と教えてくれるが、そもそもどこから街でどこから山なのかもよくわからないくらい見事な田舎である。常世田舎大賞とかあったら一発で金賞がとれるに違いない。
にもかかわらず、「探せばなにかあるはず!」と『市場仲間』根性を発揮して店に向かうAさん。
私も退屈なので後を追ったが、そこで見たものは。





青陽:晴山堂

店には何もないし、どっから街なのかもよくわからないし、山からの眺めはよさそうだし、山賊が出るなら願ったりかなったりなので散歩に行くことにした。
空気がうまいなはぁ〜、などと言いつつ歩いていると、子どもが飛び出てきて私に体当たりをかましてきた。

こんなところに子どもが一人でいるなんて超!不自然。

ムカチン、ときた私に、すでに遥か遠くまで「回避」しているBさんが「夜紫野!財布は?」と叫ぶ。ハッと甲冑の上から探るが、手ごたえなし。
もう許さん!
「Bさんそのガキコロして!」
「がってんだ!」
持ち前の脚力を生かしてBさんが先頭に立ってガキを追う。
夜紫野も超ダッシュ。
入り組んだ林道をちょこまかと逃げ回るガキんちょに、我々はBさんを見失わないようにするのが精いっぱいだった。ようやく、Bさんが立っている後ろ姿が見えた。…? どうやら山賊に囲まれているようだ。おいおい、まだ「回避」すんなって。
私たちが姿をあらわすと、山賊たちはチッと舌打ちした。
「連れがいやがったか」
「親分!」
山賊の一人がガキから財布をうけとり、声を上げた。
「だまされやした! 偽の財布っス!」
「なんだと?」
「一銭も入ってねッス!」
だああああー!! そう言えば昂俊にフリ込んでトんじゃってたんでした!
はずかしーーーーー!
財布の中身こんなとこで公開すんなよ! 恥かかせやがって。許さん!
「へぇ〜 あったまいいなぁ〜夜紫野」
「なーる。納得ね v」
などとバーサーカーズの面々が普通に感心しているので私も後には引けない。
「貴様らごときの奸計に引っ掛かると思うか! アジトごと根絶やしにしてくれるわ!」
ふっ、と山賊の頭はニヒルな笑みをもらす。すらりと抜刀した青竜刀が妖しく光る。これまでいったい何人の生き血を吸った刀なのだろう。
ウチらだって数では負けない。ま、ウチらの場合、何匹の、だけどね♪
頭は刀を構えた。
「どちらにせよ、財布などお前たちを殺して奪えばいいことだ。こちらにとってみれば得られる結果にはなんの問題もない」
おおっ、とPTから歓声が上がる。
「うちら、ケンカ売られてます?」
「売られてる。売られてる!」
次々と我々も抜刀。
「やい、それはこっちのセリフだ! 死にたくなかったらおとなしくウチらから盗ったお金+α返しな!」
「ちなみにαってのは3桁以上の自然数なんだけどね!」
じり、と後ずさる山賊の三下ども。
「ええい、ふざけたやつらだ。やっちまえ!」
と、超が付くほどベタなセリフで頭が号令をかけると三下どもは一斉にかかってきた。
当然、女の私とAさんに攻撃が集中する、と、
「やっと見つけた! ここだったのね!」
どうやら我々の後をつけてきたらしい。前々からアジトを探していたという一団が助っ人に加わり、三下どもを難なくいなす。さすがに頭は女を相手にするのはプライドが許さなかったようで、Bさん&アニキ組が相手をする。相変わらずのBさんの回避っぷりに頭は翻弄され、その死角から繰り出されるアニキの直撃に為す術も無く倒れる。
「よし! 勝ったほうが全額もらえるって約束だったよね!」
「そんな約束した覚え…あが」
おなかが空いてそうな頭に鉄塊を食わせてやった。
「わかったよ、ほら、もってきな」
三下は観念したように自分たちの持ち金を投げてよこす。
私は盗られた「偽の財布」を回収して青陽を後にした。

Posted by psi at 12:35 AM | eye catch TrackBack (0)
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