昨日新聞の一面に2chの折り鶴OFFの記事が載ってて驚いた。知らない人のために一応説明すると「放火された折り鶴の埋め合わせを我々でしよう」と言う主旨のオフ会で、とにかく鶴を折る。オフ会に参加できない人は郵送。

まあ、一種の祭りなわけですよ。
少なくとも私はそう思った。2chて、参加してる人が多いだけに、何か企画を立ち上げればそれだけでカタルシスを得られるところあると思う。マトリックスオフとか、実際面白いしね。

もちろん、2chですから「なにそれ、売名行為？」とか「偽善者ウザイ」とかそういうのはありつつ。

やってる本人たちは多分、そんな偽善とか以前のノリのような気がする。新聞には「100羽折ったらそのうち2羽くらいは平和への思いがこもってるんじゃないか」みたいなコメントが紹介されてたけど、うん、多分、無理矢理言葉にすればそう言う感じなんだろうと思うんだけど、うーん、どっちかって言うと、「2ちゃんねらが集まって何万羽も鶴を折ってしまうスゴさを楽しみたい」っていうのが主目的で、「ついでに平和運動にもなったら一石二鳥じゃね？」みたいな、そんな感じの気がするんだけど、違ったらゴメン。

私は2ちゃんに限らずオフ会って参加したことないんですけども。
2chのオフレポとか見てると、雑多な有象無象の人々が集まって、なにかしらピンポイントで接点を持つっていうそこに面白さがあるように思う。マトリックスオフとかでも、黒スーツ着た大勢のスミスさん達は、実際は学生だったりフリーターだったり会社員だったりするわけで。マトリックスが好きかどうかすらそこでは不確かな集合。でもそれだからこその面白さって絶対ある。

折り鶴オフでも、もしこれが「平和を願って千羽づるを折るオフ」とかだったら絶対掬い取れないものを確実に拾い上げてるように思う。今の時代は（っていう言葉は好きではないんだが）、全共闘時代とかとは違って、若い人間が一丸となって云々、なんてことはあり得ない。個人主義によって解体された…いわゆる「イデオロギー」は……個々の生活の切片にひっそりと紛れ込んでいる。だからもし、我々の中に「平和への願い」と言うものがあるとしたら、「平和を願う」というフィルターでは決して掬い取れない。雑多な、ランダムな、もっというならインターネット的な、そういう集合の中にしか見つけられない。だから、折り鶴オフは、主目的が「平和」でない点において唯一、「平和」的でありうる可能性を秘めていると思う。

じゃあ結局、「戦争」に対する若者の感覚ってどうなの？ってことで、家の中の漫画を漁ってみました。
もちろん、「ガンダム」「銀英伝」「アドルフに告ぐ」とか「オルフェイスの窓」とか、もろに戦争なんだけど、あんまり現代の若者の感性って感じじゃないので、除くとすると、不思議なことにほとんどと言っていいほど戦争に言及した漫画はないことに気付いた。
唯一、私が「戦争に対する感性」をあらわしていると思った場面を引用したい。
（今となっては結構古いので、現代の、とは言えないかもしれないが…だって前世紀だしなw）

主人公はレコード屋で店番をする高校中退のオトコ。
『8月15日（火）晴れ
　終戦記念日（50周年）

　店内に
　一人きりだったので
　正午にモクトウした

　3秒で
　ばかばかしくなり
　レコードをかけた』

”よしもとよしとも／オレンジ（『青い車（イースト・プレス刊）』収録）より”

モクトウがばかばかしいのではない。モクトウしている自分がバカバカしいのである。
モクトウしようかという気はある。でも、それは自分のやり方じゃない。
そのくらいなら、ジョン・レノンのレコード聞きながら、「ラブ＆ピース！」とか言っている方がよっぽどリアルだ。
自分の問題として捉えられない行為をいくら繰り返したところで何も生み出さない。
ぐだぐだ理由付けすることで、それが手もとから離れて行ってしまうならば、理由などない方がいい。

『ぐだぐだ言わずにとにかく折れ！』

「折り鶴オフ」の煽りは圧倒的に正しい。

Posted by psi at 10:35 PM | TrackBack (0)

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