June 29, 2003

eye catch 第四回


案の定、追いはぎは昂俊を集中的に狙ってきた。
どう見ても一番弱そうだし、実際弱い。
「あわわわわ、あわわわわ」
昂俊はしゃがみ込んで頭を抱えると、片手は短刀を振り回す。
「ぐはっ」
などと言う声が頭上でするが、昂俊の耳には入らない。
とにかく必死で目をつぶって短刀を振りまわす。
はっ、と気付くと共闘者たちの姿は既になく、追いはぎもほとんどいなくなっていた。
残っているのは傍らでピヨっている追いはぎだけである。
短刀に血糊が付いているのを不思議に思いながらも、とにかく立ち上がる。
昂俊は共闘者がいて本当に良かったと思った。(微妙に違

あっ、そうそう、関弓で買った『二週間で免許皆伝!匠師への道』(税込み60銭)に「匠師たるもの、自らの武器の手入れには文字どおり一刀入魂の心意気で臨め。血糊の付いた戈剣を放置するなどもってのほかである」って書いてあったな。
危ない危ない。
昂俊は薄い微笑みを浮かべ、短剣を一心不乱に磨きながら烏号へと歩を進めた。
この間、悪い人にも妖にも全く遭遇しなかったのは、まこと幸い(※)と言う他ない。

※もちろん、不気味な性格に生まれついた幸いである。

Posted by psi at 10:08 PM | eye catch TrackBack (0)
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