July 27, 2003

eye catch 第三十回


堯天に着いたはいいが、何のために堯天に来たのか忘れてしまった。
シナリオが始まるとのことだったが、役所にでも行けばいいのだろうか。
役所に行くと、「シナリオ?なんのことだ。 来月までに古周へ行けという布告を見ていないのか?」と、怒られた。
「怒られちゃったじゃん!」
「オレのせいじゃねーよ」
「そもそも堯天に行こうって言ったの誰だっけ?」
「知らね」
「夜紫野じゃない?」
「違うよ!」
「きっと古周に行けって言うのと間違えたんだよ」
「だから私じゃないって! いくらアニキでもそれ以上言ったら許さないよ!」
「おっ、やる?」
アニキが武器を抜く。私もスタンバイだ。
「まてまてまて、おまえらが仲間割れしたら本気で血をみるぞ!洒落になんねーって」
Bさんがあわてて止めに入る。
「仕方ないわよ。戴から帰ってきて敵は弱いし金はもうからないし、欲求不満なのよ」
Aさんはクールだ。
「とにかく来月まで間があるから、どっか少しでも手ごたえのある場所で欲求不満を解消しましょ?」
私とアニキも構えをとき、うなづいた。
「どこへ行く?」
「私、新しい冬器を仕入れたいの。堯天に行きたいな v」
えっ、とAさんを除く全員が固まる。
一瞬遅れてAさんもえっ?とキョトンとした顔をする。
たっぷり10秒程固まったあと、私がゆっくりと口を開いた。
「Aさん、ここ堯天なんだけど…」
一度(以上)死んだ人間というのは、方向感覚や土地勘に狂いが生じるらしい…

翌朝深城に向かうことにして、私はAさんの買い物に付き合って街へ繰り出した。
両手いっぱいにブランドの紙袋を抱えてようやくAさんは満足したらしく、帰りに二人で喫茶店に入って一休み。オープンテラスの席をとると、Aさんが「あっ」とおもむろに通りの反対側を指さした。
「あれ、Bさんじゃない?」
確かに、Bさんとおぼしき橙色の髪の毛の後ろ姿が見える。
向かいのアミューズメントセンターには戦闘シミュレーターが入っていて、そこで訓練をすることが出来る。そのシミュレーターにBさんが腰掛けていた。
「うらららららららららあああああああっ!」
「死ねええぇぇぇーーーーー!」
「オレは死なねえ! お前をコロす!」
ものすごい勢いでジョイスティックを操るBさん。
私とAさんは昼間温厚な笑顔で私とアニキのケンカを仲裁していたBさんの姿を思い出し、そっと涙をぬぐった。

#このBさんの頑張りにより、バーサーカーズは武の序列2位(最高時)にランクイン。

Posted by psi at 08:41 PM | eye catch TrackBack (0)
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