October 21, 2003

eye catch ワラッテイイトモ


TV番組「笑っていいとも」の映像を大胆にリミックスして「キリンアートアワード」で最高の評価を受けながら、肖像権・著作権の問題からグランプリを取り下げられた作品、「ワラッテイイトモ」が肖像権・著作権上の問題ある部分を修正した「公開版」として一般公開されるようです。

「キリンアートアワード2003」審査結果について(キリンビール株式会社プレスリリース)

修正後は、青画面にセリフが文字で書かれていたり、人物がシルエットになっているとのことですが、作品の全編にわたって「笑っていいとも」の映像で構成されているそうなので、ほとんどが↑これで終わるのでしょうね。
個人的にかなり興味を持った作品だったので、審査員特別優秀賞への格下げ(最優秀作品賞に「匹敵する」とプレスリリースには書いてありますが)は残念です。
ギャラリーに勤めている知人はコネでオリジナルを見たそうで、「チョー面白い」と言っておりました。私もオリジナルが見たかったですが、しかたないので修正版を見に行ってきます。

受賞作品展は東京はヒルサイドフォーラム、大阪はKPOキリンプラザで開催されます。詳細はこちら。

しかし、音楽の世界でもリミックスという手法は当たり前になってきて、(もちろん、権利関係がクリアできなくて公開されなかった名曲も数々あるわけですが)、利益が発生する商業音楽ならとにかく、アートの世界でこのへんを厳しくやられちゃうと面白い作品の芽を摘むことになりそうで心配です。
もちろん、アートなら無条件に著作権侵害していいと言うわけではないので、許諾をとるシステムがもっと簡便なものになれば、ちょっとは違うのかなと思います。


#12/22 追記
未だに「ワラッテイイトモ。」で検索してこられる方が結構いるので一応↓
twisted column by 五十嵐太郎
「ワラッテイイトモ。」上映イベント・メディア露出など、関連情報はとりあえずここをヲチしておけば大丈夫かと思われます。

Posted by psi at 08:25 AM | eye catch Comments (4) | eye catch TrackBack (1)

October 18, 2003

eye catch あなたが死ぬまでの時間


1000 real life project

直島のプロジェクトなどで有名な現代美術家の宮島達男の「参加型」新プロジェクト。
購入すると、webカメラとCD-ROMが送られてきて、それで自分の写真を撮り、「死ぬまでの時間」を設定する。(実際は「死ぬまでの時間」を設定した後、購入手続をする)
CD-ROMに収録されたアプリケーションをインストールすると、webカメラで記録した自分の静止画像上で「死の時」までのカウントダウンが繰り返される、というもの。
おまけ(?)として、自分の「死の時」までの時間が記された「SOPH.」のセーターがついてくる。
あと、パリで催されるネットイベントへ自動エントリーされるとか。
そんなこんなをまとめたパッケージがなんと50万円。‥‥買えるかっつーの。

まあ、宮島達男の作品としては破格に安い訳ですが、気軽に参加、とはいきませんね。
夏のボーナスが丸々余っちゃって困ってる方とか参加してみてはいかがでしょうか。

ただ、50万円ださなくても、http://www.art-labo.com/にアクセスして、自分の「死の時」をいつに設定するのか、ちょっとだけ考えてみるだけでもこのアートのコンセプトは達成されると思います。

自分の人生の長さは言うまでもなく、自分では設定できません。
出来るとすれば、それは自ら命を絶つことによってのみ達成されます。
自らの「死の時」を設定する行為、それは残された人生の価値を計る行為であると同時に、タナトスを刺激する自慰的な行為でもあります。
刻一刻と減っていくディスプレイ上のデジタル数字を見つめながら、自分の生が「在る」こと、そしてそれが「限られている」ことに思い至る甘美で静粛な時間は、果たして50万円で贖えるものなのかとすら思います。

Posted by psi at 07:14 PM | eye catch Comments (0) | eye catch TrackBack (0)

July 16, 2003

eye catch 表現の自由 VS 権利


著作権や商標に挑戦する『イリーガル・アート』の展覧会が開かれています。

表現の自由と法人や個人の権利の対立と言うと、柳美里の裁判なんかが記憶に新しいですが、この展覧会も、もちろん多分にそう言った政治的な趣旨が含まれています。
ただ、柳美里の場合は、モデルの人生をそのまま売り物にする訳ですから権利の侵害度とそれによって得る自分の利益ってものは結構大きかった訳ですが、アート作品の場合、有名なものを使ったからと言ってそのアートが売れる訳ではありませんから、ちょっと一概には比較できないところもあるとおもいます。
ただHeidi Cody氏のAmerican Alphabet なんかは、そういった政治的メッセージを抜きにして楽しめる作品だと思います。バブリシャスのB、コカ・コーラのC、m&mのM、PETZのP…日本でも有名なロゴの一部もたくさんあります。こんなふうにロゴタイプの一文字を抜き出しただけで何の製品か分かってしまうと言うのはすごいことだと思います。それだけ、デザインに力があると言うことですね。

Posted by psi at 07:02 AM | eye catch Comments (0) | eye catch TrackBack (0)